海外で人気のトヨタ スープラ

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『ワイルドスピード』で火が付いたスープラ人気
 1990年代の日本車、とくにスポーツカーの中古車市場価格が高騰している。

 トヨタ「スープラ」も、かつての感覚ではすでに手が届かない価格となってしまったクルマの1台だ。1993年から2002年まで生産されていたA80型スープラの新車価格は、ツインターボを搭載したものでも400万円台後半だったのだが、現在では4桁万円で取引されることもある。

【画像】90年代にタイムスリップ! 「スープラ」のディテールチェック(24枚)

 いかに程度の良い個体であっても、この価格ではもはやコレクターしか手が出せないものといっていいだろう。

BBC『トップギア』にも登場したトヨタ「スープラ」にどれほどの落札価格がつくのか、要注目である(C)SILVERSTONE AUCTIONS
 スープラの価格高騰の元となっているのは、海外でのカルト的な人気にある。映画『ワイルドスピード』でのスープラの姿は、スープラの現役当時を知らなかった世代にもその存在を知らしめることとなった。

 そして「劇中のスープラを手に入れたい」と思った人たちのリクエストを受けたバイヤーが、日本市場で流通していた、比較的安価だった中古車を買い漁ったことで、良質な中古車が激減してしまった。

 といっても、スープラは、「スカイラインGT−R」などとは違い、海外でも正規販売されていたクルマです。

 もともと日本では「セリカXX」といわれていたスペシャリティカーを、1978年に北米で販売する際に名付けられたのが、スープラというネーミングである。その後セリカXX、つまり北米でのスープラは、1981年に2代目へとモデルチェンジされた。

 そして1986年、3代目となるA70型から、世界共通でスープラというネーミングが採用されることとなる。1993年に発売されたA80型は、北米はもちろんヨーロッパでも販売されていた。今回紹介するイギリス仕様車は、そのうちの1台だ。

 はっきりとした資料が残っているわけではないが、A80スープラは全世界でおよそ4万7000台が販売されたといわれている。そのうち、イギリスで正規に販売されたのは623台しかなく、そのなかでマニュアルトランスミッション搭載車は200台だけである。

 A80型スープラのトランスミッションは、初期のNAエンジン搭載グレードは5速MT、ツインターボを搭載したグレードにはゲトラグ社製6速MTと4速ATが搭載されていたが、のちにNAエンジンモデルにも6速MTが搭載されている。

 エンジンは、2JZ型の3リッター直列6気筒を採用。NAは225ps、ツインターボは280psを発生するこのエンジンは、1997年になって、ツインターボが可変バルブタイミング機構であるVVT-iを採用したものへと進化した。

『トップギア』に出た「スープラ」に注目!
 今回、シルバーストーンオークションに登録された個体は、1993年生産、つまりA80型スープラの最初期モデルということになる。搭載されている2JZ型エンジンは、VVT-iがなく、電子制御スロットルでもない、もっともベーシックなものだ。

ホイールなど、純正の佇まいをキープしているトヨタ「スープラ」(C)SILVERSTONE AUCTIONS
 この個体の状態は、非常にレベルが高いことが写真からでもよく分かる。というのも、初代オーナーと2代目オーナーがしっかりとメンテナンスしていた履歴が残っており、さらに2018年に3代目オーナーとなった人物が、ボディの全塗装も含む外装の修復、ウインドウやウェザーストリップの交換、エンジンのタイミングベルト交換やブレーキシステムの点検整備、サスペンションやクラッチの交換といった、全面的なレストア作業をおこなっているからだ。

 このときにかかった整備費用は、約2万ポンド(邦貨換算約288万円)とのこと。走行距離は7万7951マイル(約12万4700km)だが、各部をメンテナンスしていることから、購入後にすぐに走って楽しむのも問題ないはずだ。

 内装は、レザーシートを中心としたものとなっている。レザーシートは擦れなどが目立ちやすいのだが、この個体に関しては上質といっていいレベルだ。ステアリングの使用感もほぼなく、ダッシュパネルなども美しさを保っている。

 こうした状態の良さもあって、英国BBCで放送されている『トップギア』シリーズ27のエピソード5でスープラを取り上げた放送回では、まさにこの個体が番組内で登場している。番組内ではスーパーカーキラーとして、フェラーリ「テスタロッサ」、ポルシェ「911ターボ」、アストンマーティン「DB7」らと比較されている。

 オークションの開催は、2021年3月27日が予定されている。以前のようにユーズドで気軽に手に入れられなくなったのは非常に残念だが、海外で評価されて高額で落札されているのを見るのは、不思議と日本人として誇らしく思えてしまう。落札価格に注目です。

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