トヨタが後付けのセキュリティシステムを8月から発売開始しました。このセキュリティシステムには、トヨタ純正アクセサリー)ディーラーオプション)として用意される。はたしてこれでリレータックやCANインベーダーといった車両盗難を防ぐ事ができるのか?
まずはどれくらい車両盗難がおきているのか、一般社団法人日本損害保険協会が公開している2022年の車名別盗難状況の調査結果からお伝えしていきます。
車両盗難1位となったのは、2位のプリウス(282件)を大きく引き離す、たった1年だけで450件というランドクルーザー(プラド含む)だった。2020年は275件、2021年は331件で、そして2022年は450件と年々増え続けている。
■2022年に車名別盗難状況「車両本体盗難」
1位:ランドクルーザー/450件、16.9%
2位:プリウス/282件、10.6%
3位:アルファード/184件、6.9%
4位:レクサスLX/156件、5.9%
5位:レクサスRX/90件、3.4%
6位:ハイエース/83件、3.1%
7位:クラウン/72件、2.7%
8位:アクア/55件、2.1%
9位:C-HR/43件、1.6%
10位:レクサスES/38件、1.5%
年式、車種によって異なるが、いわゆるメーカー純正盗難防止装置は、イモビライザーと純正アラームの組み合わせで、キーレスエントリーのボタン操作に連動する。ただし、リレーアタックやCANインベーダーを使われた場合、純正アラームが解除され、役に立たないというおそれもあった。
車両盗難の方法は、かつてはスマートキーから発せられる微弱な電波を中継器で増幅させ、ドアの解錠を行う「リレーアタック」が主流だったが、認知度の上昇とともに多くの対策が施されたため盗難手口としては減少傾向にあった。
「コードグラバー」については、リレーアタックの様に電波を遮断する方法では太刀打ちできない。コードグラバーはスペアキーをつくるための特殊な専用機械でスマートキーのIDコードを読み取ってスマートキーそのものを複製してしまうからだ。
当初は数mの距離しか読み取れなかったが、最近では1km以上離れた場所からでもスマートキーのIDコードを読み込める機械が出てきている。
ただし、コードグラバーが使えるのは狙ったクルマのオーナーがスマートキーを使ってドア解錠などの操作を行うタイミングに限られるため、効率はそれほどよくない。
かわって台頭してきたのがCANインベーダーという盗難手口。ランドクルーザーのバンパーを外して、モバイルバッテリーのようなものを通信ネットワーク(CAN)のコネクターに接続して、解錠している犯人の映像を見た方も多いはず。
このCANインベーダーを使った車両盗難に対応したのがこのトヨタ純正用品の「セキュリティシステム」です。このセキュリティシステムを搭載することで、車外から通信ネットワーク(CAN)に不正侵入して流し込まれる信号を遮断し、不正なドアの解錠やエンジンの始動を防ぐ、というもの。
このセキュリティシステムには、部品を取り付けるだけで、スイッチをオンオフするなどの特別な操作は必要ないという。
価格は1万7050円で、工賃込みだと2万5135円~
トヨタ純正のセキュリティシステム価格は1万7050円。標準取り付け時間は0.7~1.4h。工賃込みだとプリウスの場合は2万5135円、そのほかは3万3200円(3年6万km保証)となっている(詳細はディーラーに問い合わせてください)。意外にも安いというのが正直な感想です。
対象車種には、盗難件数の多い車種で、ランドクルーザー(2021年8月~2022年10月)、ランドクルーザープラド(2017年9月~)、プリウス(2018年12月~2022年11月)、アルファード&ヴェルファイア(30系、2018年1月~2023年4月)など、車種によっては先代モデル(プリウスやプリウスPHEV、アルファード、クラウン)になっている点に注意が必要だ(表参照)。
ちなみにレクサスにも用意されており、レクサス車の場合は1万8700円、標準取り付け時間は0.8~3h(5年10万km保証)。
レクサスの対象車種は、ES(2018年10月~)、LC(2017年3月~)、LS(2017年10月~)以外は先代モデルとなっている
トヨタ車、レクサス車ともに新型モデルに関しては、一部の車種を除いて対象車になっていないが、今後は対象車になっていくだろう。もしくはすでにセキュリティシステムが搭載されている可能性もあります。
2023年8月から発売となったこのトヨタ純正セキュリティシステムによって、車両盗難がどれだけ減っていくのか、今後の動向を注視していきたいです。