希望のナンバー制度が始まって今年で25年
ナンバープレートには、好みの番号を付けられる、いわゆる「希望番号制度」が札幌、品川、横浜、名古屋、福岡など全国26地区で始まったのは1998年5月のこと。1年後の99年5月には全国で導入が始まり（軽自動車は2005年1月～）、いずれも横浜35→横浜330など分類番号３ケタ化と同じタイミングだった。その後、希望番号の利用者は徐々に増え始め現在は全体の6割超というデータもある。
希望番号は、抽選対象となる番号と申請すればそのまま取得できる番号があり、抽選対象の番号には以下の2種類がある。なお、抽選にはずれても抽選に通るまで何回も同じ費用で申請できる。
1 全国一律での抽選対象希望番号（2023年2月現在）
１・７・8・88・333・555・777・888・1111・3333・5555・7777・8888での合計13種
（かつてのオリンピックにちなんだ「2020」、ミレニアムの「2000」なども抽選対象だった）
2 地域によって抽選対象となる番号
2525（ニコニコ）、1122（いい夫婦）、8008（00を∞マークに見立てて末広がりで縁起の良い8が無限に広がる）など。
抽選対象以外の希望番号では、ビジネスに関わる語呂合わせで「8787」（花屋）、「1129」（肉屋）などがおなじみ。持ち主の名前をナンバーにしている人もおり、「510」（後藤）、「1140」（飯島）、「330」（三沢）、「935」（久美子）、「1610」（ヒロト）など。
車好きにおおいのは車名や型式番号など愛車にゆかりのある番号を選んでいる。「86」（トヨタ86）、「34」（スカイラインR34）、「205」（プジョー205）、「3298」（ミニクーパー）、「911」（ポルシェ911）など。
なお、忘れない様にと誕生日（10月5日なら「1005」、3月29日なら「329」にする人がいますがこれは防犯上やめた方が無難です。車上荒らしに遭ってキャッシュカードなどが盗まれた場合に、犯人が最初に試すのが車のナンバーと言われている。誕生日など暗証番号に設定していると速攻でお金を引き出されてしまうのでご注意を。
サンキューハザードをしなかったら、後続車からあおり運転を受けたとのＳＮＳへの書き込みが増えている
急増する「358」と「3588」
希望番号を付けた車が巷にあふれる中、近年、特に急増しているナンバーがある
それは「358」という番号だ。名古屋では2021年4月～全国に先駆けて、抽選対象番号に設定されている。それだけ希望する人が多いという事です。
なぜに、358が「縁起の良い数字」なのか？
諸説ありますが、まずは風水の吉数として日本ではとくに人気があり崇められている数字が358である。風水では3・5は金運や財運が良くなる数字で、8は風水最高の数字となります。
また、「救世主」（メシア）を意味する言葉をヘブライ数字に置きかえると、「358」という数字が導かれるとか。他にも色々ありそうですが、358が縁起の良い数字であり人気があるのはゲン担ぎを好む日本人の気質にも関係しているのでしょう。
全国自動車標板協議会が2019年に出したデータによりますと、358は小型車（5ナンバー）では「郡山」「盛岡」「前橋」「奄美」で1位。軽乗用車では「盛岡」「前橋」「豊橋」「岐阜」「福山」「鳥取」「島根」「大分」「沖縄」で1位となっています。他の地域でもおおくが上位にランキングしている。
3年以上前の資料でその後も、名古屋が抽選対象となっているので358ナンバーは現在も、全国的にもっと増えていると予想される。
そして「358」のほかにも、この1年でよく見かけるようになったのが「3588」である。幸運を引き寄せるゾロ目、しかも末広がりの「8」が追加される事で、358よりもさらに強力という説もある。
358・3588のナンバープレートがふえている理由。それはもちろん、縁起の良い数字だからオーナー自ら選んでいるケースが多いと思われるが、実はもうひとつ、あまり知られていない意外な理由があります。
車に358のナンバーを付けている車のオーナー20名ほどに、「なぜ358にしたのですか？」と聞いてみたところ、そのうち8名は「希望したわけではない」という回答でした。
なお、少し専門的な話になるので割愛しますが、「希望しないのに358になる」確率は昨今ほぼ「ゼロ」と言っていいでしょう。
知人の高校時代からの友人もスバルの新車を買った際、「希望しないのに偶然358になった！縁起が良い数字みたいで嬉しい」と話していたが、よく聞いてみると、「そういえばディーラーの営業担当者から納車の時、『縁起のいい番号にしておきました』と言われた」と話していた。
つまり358が増えている理由にはディーラー営業マンの気遣いによるところも少なくない、というわけです。
希望番号は多くの場合が、新車契約時に営業マンから「ナンバーの数字は希望番号にしますか？」と聞かれて選択する仕組みです。そこで、あらかじめ決めていたナンバーを伝えるオーナーが大半だと思われますが、意外と多いのが「なんでもいい」「希望番号にしなくていい」というケースです。
国産車ディーラーの営業マン数名に聞いたところ358ナンバー事情をまとめると以下となる。
「お客様から『希望番号にしません』と言われても一般払い出しの番号では4294（死に苦死）、4989（四苦八苦）、2943（憎しみ）、4296（死に苦労）などというあまり嬉しくない番号が来たら、やはり気持ちの良いものではありません。車は命に関わる乗り物ですし。それで『希望しない』と言われた場合でも、こちらでは358や3588を付けていますよ。手間や費用は若干増えますが、大した事ありません。もちろんお客様には、請求なんてしませんよ。
車は高価な買い物でなかなか買い替えるものでもありませんので。お買い上げいただいたお客様には気持ちよく車を乗っていただきたいですからね」
究極のおもてなし
客に「不要」といわれても、営業マンが気を利かして358・3588を選ぶ……日本の自動車ディーラーならではの究極のおもてなしです。
なお358が縁起の良い数字である事が普及し始めてからは、「希望しないといわれても358をつけて納車する」というディーラーも急増している模様です。その結果、358とさらに強力な“3588”ナンバーの車が増えている、というわけです。
電話番号の下4桁や誕生日の数字にする事も可能ですが、そこには、プライバシーに関わる事でさらには防犯上もあまりお勧めできない。
また縁起が良いといっても8888などは全国的に抽選対象の数字で競争率もとても高い。そこで、「取得しやすく縁起が良くて無難な数字」として昨今流行りの358が選ばれている事情もあるでしょう。
なお、ナンバーの数字は中古車購入の際や現在使用中の車でも換える事ができる。
全国自動車標板協議会の公式サイトから希望番号申込の手続きをすればOKです。ディーラーや中古車店にやってもらっても良いが（手数料1～２万円）、自分でやれば5000円以下（地域によって異なる）ですむ。
358に換えたいという人は今後、「名古屋ナンバー」以外も抽選対象になる可能性が高いので、早めに換えることをおすすめしたい。
