東京オリンピックのソフトボール、予選リーグの第2戦で日本はメキシコに延長8回、3対2でサヨナラ勝ちし2連勝としました。
島市の県営あづま球場で行われたソフトボール予選リーグの第2戦で日本はオリンピック初出場のメキシコと対戦しました。
試合はエース・上野由岐子投手が初戦に続いて先発しました。
きょう39歳の誕生日を迎えた上野投手は、力強い速球に加え得意の落ちる変化球で4回には3者連続三振を奪うなど、5回まで1失点に抑え10個の三振をマークしました。
打線は6番・藤田倭選手の2試合連続のホームランで先制したあと、1対1で迎えた5回には、ワンアウト二塁から8番・我妻悠香選手がタイムリーツーベースヒットを打って2対1と勝ち越しました。
このあと7回、上野投手はフォアボールとヒットでノーアウト一塁三塁とピンチを招き、続くバッターにタイムリーヒットを打たれて2対2の同点とされました。
ピンチが続く場面で日本はチーム最年少20歳の後藤希友投手が登板し、2者連続三振などで勝ち越し点は与えませんでした。
試合は2対2のまま、7回では決着がつかず今大会初めてノーアウト二塁から始まるタイブレークでの延長戦に入りました。
そして日本は延長8回、ワンアウト三塁から9番・渥美万奈選手のヒットで3対2でメキシコにサヨナラ勝ちし予選リーグ2連勝としました。
日本は24日、横浜スタジアムで行われる予選リーグの第3戦でイタリアと対戦します。
上野「チームみんなで勝てたことがうれしい」
予選リーグ初戦に続いて2試合連続で先発したエース・上野由岐子投手は7回途中で交代するまでに10個の三振を奪いました。
上野投手は「先制されたきのうの立ち上がりの反省を生かして投げられたと思う。交代した後藤投手は力のある球を投げられるので、あとを任せても頼もしい。次の試合以降もいい形でバトンを渡せるようにしっかり投げたい」と自身のピッチングを振り返りました。
また、きょう39歳の誕生日を迎えた中でチームが勝利したことついて聞かれると「最終回のマウンドも監督が誕生日だからあげてくれたという思いも伝わってきたのでその期待に応えられず残念に思う。ただチームみんなで同点に追いつき勝てたことがうれしい。大きな2勝になった」と話していました。
後藤「上野さんがつないでくれたバトンをしっかりつないだ」
2人目で7回と延長8回の2イニングを投げて5つの三振を奪い、無失点の後藤希友投手は、同点の7回ノーアウト一塁ニ塁で登板した場面について「上野さんがつないでくれたバトンを自分がしっかりつなぎチームのみんなが必ず点を取ってくれると信じて投げた」と振り返りました。
また今後の試合について「きのうやきょうのような厳しい試合を経験することができたので、これからの試合に生かしていけるようにやっていきたい」と話していました。
我妻「上野さんの誕生日にどうしても勝ちたかった」
1対1の5回に勝ち越しのタイムリーツーベースを打ち、キャッチャーとして2人のピッチャーをリードした我妻悠香選手は、終盤のピンチについて「ランナーがたまっていたが、粘り強くピッチャーに声をかけながらとにかくバッターを抑えることを考えていた。バッターがボール球まで振ってきてくれていたのでもっとボールを使う意識で、ピッチャーもそこにしっかりとボールを投げてくれていたのでいいところをつけたと思う。ここまで上野さんが引っ張ってきてくれていたので誕生日にはどうしても試合に勝ちたかった。そういう思いで1球に思いをかけていた」と話していました。
サヨナラヒット 渥美「ドキドキしながら打席に」
延長8回にワンアウト三塁からサヨナラヒットを打った渥美万奈選手は「最後はエンドランが出ると思っていたので準備をしていたが、いつもは全然しないのにすごく緊張してドキドキしながら打席に入った。この勢いを次の試合につなげたい」と話していました。
宇津木監督「上野がきょう誕生日だったので…」
ソフトボール日本代表の宇津木麗華監督は試合後、7回にピッチャーを交代した場面について「上野がきょう誕生日だったので投げきってほしい気持ちもあったが、代わった後藤が強い精神力といいコントロールでよく投げてくれたと思う」と話していました。
また予選リーグ2連勝としたことについて「ことしのチームは決勝まで負けられないという特別な緊張感の中でやっている」と横浜スタジアムに舞台が移る今後の戦いに向けて意気込みを示しました。
“二刀流”の藤田 まずは打撃で貢献
13年ぶりの金メダル獲得を目指すソフトボール日本代表。予選リーグの第2戦で光ったのは、ソフトボール界で投打の二刀流として知られる藤田倭選手でした。
藤田選手は高いバッティング技術で日本リーグではホームラン王と打点王に輝いた実績があり、勝負強さとパンチ力が持ち味です。21日のオーストラリア戦でもツーランホームランを打って勝利に貢献し、試合後には「自分のスイングが思い切ってできてホームランになった。いいスタートが切れたと思う」と話していました。
藤田選手は22日のメキシコ戦も6番・指名選手で先発出場し、2回に先制のホームランを打ちました。このあと同点で迎えた5回には勝ち越し点につながるセンター前ヒットで塁に出ました。藤田選手はブルペンで投球練習をして備えましたが、ピッチャーとしての出番はありませんでした。それでも藤田選手、福島での日本の2連勝にまずはバッティングで貢献しました。
メキシコ ウルテス選手「上野は非常に偉大なピッチャー」
日本の上野由岐子投手から、5回に一時同点に追いつくホームランを打ったメキシコのアニッサ・ウルテス選手は「初戦のカナダ戦と同様、日本に対していい試合をした。きょうは活力もあったし、集中力もあったので内容は悪くはなかった」と試合を振り返りました。また、上野投手について「彼女は非常に偉大なるピッチャーで、プレッシャーがあって、自分自身を保つのは非常に難しかった」と話していました。
日本の2人目で登板した後藤希友投手については「私は彼女と対戦しなかったが、はっきり言うとチームとしては彼女の方がやりづらかった」と話していました。
またカルロス・ベルナルデス監督は日本の継投のタイミングについて「上野投手が7回まで投げて、徐々に彼女のボールに慣れてきていたところであまり対戦したことがないいいピッチャーへの交代は、とてもすばらしかった」と話していました。