創業者の故ジャニー喜多川氏（享年８７）による加害問題をうけ、ジャニーズ事務所は１０月２日、社名を「ＳＭＩＬＥ－ＵＰ．」へと変更すると発表した。同社では被害者の補償業務のみをおこない、ジャニーズ事務所所属タレントは、新たに設立するエージェント会社と個別契約を結ぶことになる。
新会社の社長には東山紀之氏（５７）が、副社長には井ノ原快彦氏（４７）が就任し、社名はファンクラブ内の公募で決めるというが――これが早くも荒れ模様を呈している。
芸能プロ関係者は、公募について「無責任」とバッサリ斬りすてる。
「これまでながきにわたって広く浸透していた”ジャニーズ”ブランドを捨てるのは、確かに大きな決断でしょう。そして、新会社名を公募で募集し“マイナスイメージを払拭し、ファンとともに新出発”と言えば聞こえはいいでしょうが……創業者の加害スキャンダルに端を発した問題だけに、無責任なパフォーマンスとも映ってしまいます」
「仮にも新社名の評判が悪かった場合、命名したファンに責任を押し付ける形となる。ファンに対して公平に寄り添う事を考えても、社名公募は悪手です」
さらに、ファン同士の軋轢を生む可能性も大きいと言う。
「まずは、現在いる多くのジャニーズファンを納得させる社名でないといけない。一口にファンと言っても、グループ毎にファンのカラーは違うし、グループのファンであってもそれぞれ考え方や価値観は異なります。
そうしたなかでの公募という“ファンの誰か”が命名者になるシステムには、ファン内のマウンティングを助長するようなものなんです。”私が命名した”と言い出す方が出てくるなど、“特別”なファンを作ってしまう。さらには社名が気に入らない方も発生し、ファンの間に不協和音が生じるのは想像に難くありません。
ファンには、おなじファンが考えたものは受け入れがたい心理がある。たとえば、ジャニーズに所属グループの名前は、正直ファンからしてもダサいものが多いのは否めない。ただしジャニー氏命名だからこそに、どんな名前でもファンは受け入れてきました。ファンが考えたものだったら猛批判がおきて、炎上待ったなしのグループ名にはいくつもあります」
■かつて新グループ名を一般公募したアイドルの“その後”
グループ名と言えば今回、すべての“ジャニーズ”という言葉を排除する方針のもと『関ジャニ∞』『ジャニーズＷＥＳＴ』の❷グループも改名する。
関ジャニ∞は１０月２日に公開したファンクラブ会員向けの動画で、すでにメンバー内でいくつかの候補がある事、またファンからの意見を考慮した上でメンバーで決定することを明らかにした。
ジャニーズＷＥＳＴも翌３日に、ファンクラブサイトに動画を投稿、新グループ名に関してファンの意見を投稿する場所を設置し、メンバーがそれを参考にしてグループ名を決めていくと言う。
ファンからはやはり《変に一般公募とかせずにメンバーとスタッフさんで決めて欲しいな》という声もあがっている。そんな中、参考になりそうなのが、かつて新グループ名を「一般公募」した人気アイドルグループです。
茅乃舎
それが、２００９年に結成された、１０年にメジャーデビューしたハロー！プロジェクトのアイドルグループの「スマイレージ」１４年に新メンバーを追加するタイミングで「アンジュルム」に改名したのだが、その際、新グループ名を一般公募したのだ。
「改名した公式の理由には、初期メンバーの発案で“もっと進化したい”という思いがあったという事になっています。ただ裏側には”スマイレージ”というグループ名にかんする商標問題に関するゴタゴタがあったと言われていますね。
”スマイレージ”という名前に親しみをおぼえているファンは多く、改名については反発する声もありましたが、公募を決行。具体的な選考基準などは不明ですが、応募されたグループ名を参考にして、メンバー・スタッフの協議により決定するということになっていました」（レコード会社関係者）
公募で１万通の新グループ名の案が寄せられて、最終的に選ばれたのが、スマイレージの２期メンバーである中西香菜（２６）が考案した「アンジュルム（ＡＮＧＥＲＭＥ）」という名前だった。フランス語で「天使」を意味する「ａｎｇｅ」と「涙」を意味する「ｌａｒｍｅ」を合わせた造語で、「天使のような優しい心で、いろいろな涙を一緒に流していこう」という意味が込められている。
「公募しても、結局メンバー案が採用された事で、”公募の意味はあったのか？”という疑問の声はありました。しかし“メンバーが考えた”と言うのは最強です。
結果的にファン同士がいがみ合う事態にはならずに、”メンバーが決めたんだから仕方ない”という空気が上手くできあがって言った。その後むしろアンジュルムの人気は広がり、ライブ規模にも拡大。２０２３年６月には初の横浜アリーナ単独の公演を成功させました」
■「メンバー案」でも危険すぎるジャニーズ事務所の深い闇
とはいえ、ジャニーズの場合は、社名となると現在所属するメンバーが提案する案に問題がないわけではない。
「メンバー案を採用するとしても、今度はどのグループの案が採用されるのか、と言うところも注目される」
これは、そもそもジャニーズ事務所内でグループの扱いに“格差”があった事が起因するという。
「例えば、ジャニー氏のお気に入りであり、ファンの間で“スペオキ”と言われていたメンバーの案が採用されれば、”ジャニーズ色を払拭できていない”と言われてしまうかもしれない。あるいには、藤島ジュリー景子前社長（５７）が推していた嵐・関ジャニ∞、なにわ男子などのメンバーの案が採用されれば、”やはりジュリー氏の影響が残っている”と、事務所内の力関係を邪推する見方も生まれかねない。
”アンジュルム”の様にファンが揉めず、納得できる空気感を作り出すには、東山さんか井ノ原さんが新社名を命名するのが最もリスクのない方法だと思われますが……」
果たして、名付け親は誰になるのか。新たに設立される会社には、注目が集まっている。
