ジャニーズ事務所所属タレントととののCMへの起用を見送る企業の動きが広がりを見せている。大手企業4社が既に表明。「検討中」は少なくとも15社以上におよぶ。
同事務所と広告契約を結ぶ企業は100社の規模に。ジャニーズ離れがドミノの様に進むとも指摘されるが、決めるに決められない企業側の事情も透けてみえる。
事務所の記者会見があった7日。問題の深刻さを象徴する様に、大手企業2社が即反応した。
東京海上日動火災保険は、現行の契約を更新しない事を決定。性加害問題が報道された3月以降に、タレントを使っていない日本航空も適切な対応が取られるまでの起用見送りを表明した。
翌8日は、キリンホールディングスが「現在の契約満了をもって今後起用しない」と“絶縁”を宣言。アサヒグループホールディングスにも更新はせずCM差し替えなどを順次行っていく事とした。
このほかにも、「今後の事務所の改革や取り組みを確認し」(コーセー)、「ガバナンス(企業統治)強化の実現が必要」(森永製菓)などと厳しい意見が噴出。これらは、厳しい対応に苦慮する様子を物語っている側面もありそうだ。
広告代理店関係者は「CM打ち切りなどで、ファンを悲しませていいのかと考える会社もあれば、被害者かもしれないタレントへの対応として適切なのかと迷っているところもある」と説明。ファンの離反にも危惧されているという。
企業の社会的責任としては、取引先企業の人権侵害の有無について確認を求められる時代。
別の関係者は「コンプライアンスの担当者が厳しい対応を主張する一方、営業担当者は商品の訴求効果があるとして起用継続を求める事も多い」と、企業内のせめぎ合いに言及。ジャニーズ所属タレントであるとして一律な対応をするのではなく、個々のイメージなどによっても対応は異なってくるという。
対応を決めた企業にも即時のCM打ち切りではなく、契約更新はしないとの判断。ジャニーズタレントがCMから消えるとの受け止めもあったが、各企業側が世論の動向を見極めながら、慎重に判断していくものとみられる。