借金は薬にも毒にもなる
家計で、一時的にお金に困ったとき、借金というのは便利なもので、救世主となります。便利ですが、使い方を誤ると、借金地獄というドロ沼への入り口となりかねません。ここでは、上手な借金の仕方という意味で、3つのポイントをご紹介します。
ポイント1:金利に敏感になる
これは実際に借金をしてみないと分からないことですが、わずかな金利の差が、返済額の大きな差に結びつきます。
たとえば、100万円を10年返済で借りた場合、金利が2%なら毎月返済額は9200円ですが、金利が15%であれば1万6100円となります。累計返済額では、8万2800円も多くなるのです。金利という数字にうとい人でも、絶対に金利の低い借り方を選ぶべきだと覚えておいてください。
ただ、混乱を招くのは、金利の高いローンでも毎月の返済額が小さく表示されていることなのです。そこで、人はすすんで高金利の借金をしてしまいます。この謎を解く鍵は、返済回数にあります。高金利でも、返済回数を短く計算すれば、利息の総支払額が抑えられ、結果的に毎月返済額も小さく表示できるのです。
金利の高低にこだわるだけでは不十分で、有利な借り方を見つける第二の視点は、返済回数です。できるだけ短期間で完済する方針を持つことです。低い金利で、短期間の借金で済んだ場合には、支払う利息も最小となり、家計に与えるダメージもやわらげることとなります。
返済回数を抑えると、低い金利のローンでも毎月返済額が膨らみますから、不利とは分かっていても、毎月返済額を減らすために長期の借り入れをせざるを得ないという場合もあるでしょう。そうなると、カードローンに頼ることは危険な事態かもしれません。15%ほどの高金利で長期の借金をしたら、借金は雪だるまのように増えるからです。
短期では返しきれない借金が必要であれば、カードローンではなくて、せめて銀行のフリーローン(6%程度)、できれば国の教育ローン(2.35%)などの公的資金からの調達を考えるべきです。
ポイント2:保証人無し、担保提供無し
借金をした後の最大の悲劇を避けるために、この2つが大事です。保証人を立てない、そして、担保提供をしないということです。
もし保証人を立てて自分が返済できなくなれば、保証人に返済の請求がいくことになるので、保証人に迷惑がかかります。あるいは、自宅などの担保を提供していれば、自宅差し押さえ→競売という可能性もあり、家族の生活まで破壊しかねません。それは、いずれも「悪い借金」です。
カードローンでは、保証人も担保も不要として借りやすくする代わりに、金利が高くなっているのです。もし借金をするために保証人や担保を求められたら、相当に慎重に対応しなければなりません(基本的には、NOです)。
ただし、保証人も担保提供も可能!と思う人がいたら、それはそれでまったく違う調達方法が考えられます。
・保証人を喜んで引き受けてくれる人がいるのなら、その人に借財を頼んではどうでしょう?
・担保提供できる資産があるのなら、住宅ローン(リフォームを含む)を検討したらどうでしょう?(銀行の住宅ローンなら低利長期で調達できます。家を新規購入に限らず利用できる場合もありますので)
目先の小さな資金繰りではなくて、長期的な資金需要に対応する骨太の抜本策を打つことができるなら、それは「良い借金」です。
ポイント3:繰り返して利用しない
借金の悲劇のもう1つは、多重債務者に陥ることです。個人がお金を借りやすくする環境を金融機関が次々と創っていくので、いったん借金生活に入ると、そこから抜け出せずに、次なる借金に頼って悪循環にはまる人がいます。借金返済のために、また借金をするようになると、それは破たんの第一歩。
借金は1つずつ完済していくクセをつけてください。複数の借金をして、返済をくぐり抜けるような自転車操業は、決してやってはいけません。
借金を繰り返して利用しないという原則からみたら、リボ払いもNGです。クレジットカードを利用して支払いをリボ払いで行うことは、借金をしていることと同じです。しかも、リボ払いは買い物を続けていくことが前提となっており、借金依存への導入薬です。
買い物をする店舗で、いつもリボ払いを勧めてくることに気づいているなら、その理由についても、思いをはせてみてください。リボ払いで得をしているのは、消費者ではなくて金融業者なのです。リボ払いをしている人は、カード会社にカードローン以上の高金利を、手数料として毎月支払っています。
私が知っているお金持ちたちは、絶対に「一回払い」です。わずかな手数料ですら、無駄なお金は払いたくないのです。お金持ちは手数料や金利を拒否し、お金がない人が手数料や高い金利をすすんで払っている。これは、お金をめぐる最大の皮肉です。